ハマナス(バラ科) Rosa rugosa=しわの多い(葉の)
2006年の夏、訪れたナイアガラの滝の近くの公園、冬には氷結するほど寒さ厳しい地で、咲き誇っていたのはワイン色のハマナスの花(写真)。たまたま「自然友の会(水海道)」で鹿嶋市大小志崎の天然記念物の南限自生地を訪れたばかりだったので、大リーグで活躍する日本人選手にあったように感激したものだった。 Japanese Roseとして日本を代表するこのバラを、「日本植物誌」(Flora Japonica:フロラ・ヤポニカ:1784)で最初に世界に紹介し、学名をつけたのは出島の医師ツンベルク。生きた植物を欧州に導入したのは、かのシーボルト。長崎と江戸までの道中でしか採集の機会がなかった彼らが、この北方の植物を手に入れられたのは、当時も西日本各地の庭園で多く栽培されていたからであろう。 欧州に入ったハマナスは、色濃く香り高い花と、寒さに強く、海岸でもしっかりと根を張る特性を買われて、各地に広がり、オランダでは浜辺の堤防の上に列をなして咲いている。
寒さに強いハイブリッド・ルゴサ系の祖先としてバラの改良に大きな寄与をし、花は香水の素に、赤い実は寒地では不足がちのビタミンCの補給源となっている。また、アイヌ民族は果実を生で食べたり、クロユリの鱗茎と合わせて餅のようにし、アザラシの油をつけて食べたとの事。また、北欧には自生しているとの情報もある。最近物議をかもしている「ダビンチ・コード」には、聖なる女性(イエスの妻、マグダラのマリア)の象徴としてハマナスが登場する。 また雅子皇太子妃殿下のお印であり、皇居東御苑参観記念の小箱のデザインなどに用いられている(左)。 右:E. Step(英)1894 多色石版