2010年5月27日木曜日

海を渡った日本の花(5) コウヤマキ

コウヤマキ(コウヤマキ科) Sciadopitys verticillata = 輪生の

秋篠宮・悠仁さまのお印がコウヤマキに決まった。皇族方のお印には趣のある植物が多いが、コウヤマキは一科一属一種の日本固有の高木。姿が端麗で、材が強靭なこの樹は、新宮さまにまことにふさわしい。
ツンベルクは、球果を見ていなかったので、イチイの一種と考えた(1748)が、シーボルトはその特徴から著書「日本植物誌」第二巻(1842)でSciadopitys(傘のモミの意)という独立した属を立てた。彼はこの樹木に心打たれ、「コウヤマキは日本の針葉樹の中でも最も美しいものの一つであるが、しかし最も珍しい種でもある。(中略)欧州の庭に新たな見事な彩を添えることになるであろう」と移出を試みたが、残念ながら失敗に終わった。
さらに、1860年にフォーチュンも横浜の豊顕寺に大樹を探し当て、「(もし、この樹木がイギリスの気候に耐えられるなら)イギリスの観賞用松類の目録には大きい掘り出し物である。」として、移出に努めたが、彼もそのときは成功しなかった。著書「江戸と北京」には見事な円錐形の樹姿が描かれている(左)。
1866年に横浜在住の英国人ヴェイチから、種がキュー王立植物園に送られてきてようやく、英国でも栽培されるようになったが、「その成長は非常に遅く」、左の球果のある図がカーチスのボタニカルマガジンに収載されたのはほぼ40年後の1905年であった(石版手彩色)。

コウヤマキはヒマラヤスギ、アラウカリア(ナンヨウスギ)とともに世界三大美樹の一つとして高く評価されているが、欧州では未だ稀な樹木である。