小さいころから植物が好きで、牧野富太郎の子供向けの「原色植物図鑑」をあかずに眺めていた。残念ながら大学では化学を専攻したが、33年前に就職先から派遣された英国のケンブリッジで、それまで高嶺の花と思っていた100年以上まえの美しい植物版画(アンティーク・ボタニカル・プリント)が比較的安価で入手できるのを知り、それからこつこつと集めはじめ、今ではその数300枚以上になった。
海外の出張先や、ネットオークションで購入しているが、特に江戸時代から明治初期に海外に移出され、異国の地で花咲いた日本の植物が描かれている図譜は、その導入の歴史も解説ページに記載されているので興味深く、現在ではこれに焦点を絞って集めている。日本の植物に魅せられたシーボルトやフォーチュンが苦心して運んでいった植物が、欧州の植物園や種苗家のもとでどんなにか大事に育てられ、咲いた花がいかに歓迎されたかを知ると、当時の日本の園芸のレベルや大衆性と共に高く評価されるべきと、誇りさえ感じる。
各種文献やインターネットで集めた情報を元に、私が集めた日本の花が描かれた欧州植物版画、及び各地で撮った写真とともに、海を渡り、西欧に根付き、庭園を美しく彩っている幾つかの植物の物語を紹介します。